横山夢樹の成績が伸びた理由は?香川真司から受け取った「考える」サッカー

横山夢樹がスケートボードを持つ現在の姿とセレッソ大阪でドリブルするプレーシーン 26-27 J1

私が住んでいる町から、一番近いJリーグクラブといえばセレッソ大阪です。

横浜FCを追いかけている私でも、やはり近くのクラブの試合や結果は気になります。

そんなセレッソ大阪で、最近めきめきと活躍が目立っている選手がいます。

横山夢樹です。

スピードに乗って相手へ向かっていくドリブルは、一度見れば気になる存在です。

しかも、まだ20歳。

「この選手、この先かなり面白いんじゃないか」

そう思って横山夢樹の成績やプレースタイルを追ってみると、もう一つ興味深い物語が見えてきました。

香川真司との関係です。

かつてテレビの向こうで日本代表の10番を背負っていた香川を見ていた少年が、いま同じセレッソ大阪のユニフォームを着ている。

そして香川から「考えてプレーすること」を教わり、横山はゴールという結果まで残し始めています。

ただドリブルのうまい若手が出てきた、という話ではなさそうです。

横山夢樹はなぜ、いま急速に存在感を増しているのでしょうか。

成績やプレースタイル、兄・横山歩夢との関係も追いながら、私がいま気になっている20歳の現在地を見ていきます。

横山夢樹の成績は?20歳のドリブラーが見せる急成長

横山夢樹を見ていて最初に目を奪われるのは、やはりドリブルです。

ボールを持ったら、まず相手を見る。

そしてスペースがあれば、一気に仕掛ける。

2026年2月22日のサンフレッチェ広島戦。

途中出場した横山は、J1で初めてまとまった出場時間を得ました。

そこで感じたのが、ドリブルはJ1でも通用するという手応えでした。

しかし、横山はそこで満足していません。

ドリブルだけできても意味がない。

アシストやゴールへどう結びつけるかを考えたい。

試合後、すでに次の課題を自分の言葉で語っています。

出典:セレッソ大阪公式|2026年2月22日 広島戦 試合後コメント

私は、この言葉が現在の横山夢樹を見るうえで重要だと思います。

J1でも抜ける。

それだけなら「面白い若手ドリブラー」で終わったかもしれません。

ところが2026年に入って、横山はその先へ進み始めました。

5月17日の名古屋グランパス戦では、J1カテゴリー初ゴールを含む2得点。

続く5月24日のファジアーノ岡山戦でも2得点を決めました。

2試合で4得点です。

さらに5月度のJ1 WEST月間ヤングプレーヤー賞も受賞しました。

2月には「ドリブルを結果につなげたい」と話していた選手が、わずか3か月後にはゴールという数字を残し始めた。

では、何が変わったのでしょうか。

横山夢樹の武器は相手を「抜き切る」ドリブル

横山夢樹のプレースタイルを一言で表すなら、相手へ向かっていける選手でしょう。

速い選手はたくさんいます。

ドリブルがうまい選手もいます。

しかし、ボールを持った瞬間に「抜きに行く」と感じさせる選手は、それほど多くありません。

香川真司も横山のドリブルを高く評価しています。

横山夢樹と香川真司への直接取材で、香川は横山が持つ「抜き切る力」はJリーグでもなかなかいないものだと話しています。

出典:TBS NEWS DIG|香川真司と横山夢樹の対談

横山自身、これまでさまざまな選手のプレーを参考にしてきました。

ネイマール。

三笘薫。

そして兄の横山歩夢。

映像を見ながらドリブルを研究してきたことを、セレッソ大阪公式のロングインタビューで語っています。

香川からは、横山のプレーを見て「サンチョに似ている」と言われたこともあったそうです。

しかし現在の横山は、誰かのプレーをそのまま真似するのではなく、自分の形を作ろうとしています。

出典:セレッソ大阪公式「横山夢樹 PLAYER’S HISTORY」

そして香川も、横山を「香川真司のような選手」にしようとしているわけではありません。

横山がすでに持っている武器をどう生かすのか。

ここから、二人の関係が面白くなってきます。

香川真司が横山夢樹に伝えた「常に考えてプレーする」

横山夢樹は、分からないことがあれば自分から香川真司のところへ聞きに行くそうです。

「こういう時、どうするんですか」

日本代表、ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッド。

世界のトップレベルを経験してきた選手がすぐそばにいるのですから、聞きたくなるのも当然でしょう。

しかし、香川の答え方が興味深い。

自分の考えを押し付けたくない。

横山自身の感覚や個性を否定したくない。

だから「こうしろ」と答えを渡すのではなく、自分で考えることを求める。

横山が特に印象に残っている香川の助言が、「常に考えてプレーした方がいい」という言葉でした。

出典:TBS NEWS DIG|香川真司から横山夢樹へのアドバイス

一見すると、当たり前の言葉にも聞こえます。

ところが横山は、その言葉から自分のプレーを見直しています。

ワイドに張ってボールを受け、そこからドリブルを仕掛ける。

それだけでは得点は増えない。

ならば中央へ入ってみる。

逆サイドへ動いてみる。

ボールを持っていない時間の動きを変えてみる。

そして、その変化がはっきり結果として現れた試合があります。

「外に張るだけではない」名古屋戦で横山夢樹が見せた変化

2026年5月17日、名古屋グランパス戦。

横山夢樹はJ1カテゴリー初ゴールを含む2得点を決めました。

しかし、注目したいのは2得点という数字だけではありません。

試合後、横山自身がこう説明しています。

結果につなげるため、外に張っているだけではなく、中にポジションを取ることを意識した。

そして実際に、中へ入ったことからゴールが生まれました。

1点目では、パスを受けてから何をするか考えたのではありません。

ボールが来る前からシュートを考えていたと話しています。

さらに、このゴールには香川真司からの具体的な助言もありました。

香川から「タイミングを外して左足でシュートを打て」と言われていた。

その言葉が頭をよぎり、横山は左足を振った。

そしてボールはゴールへ入りました。

出典:セレッソ大阪公式|2026年5月17日 名古屋戦 試合後コメント

これは面白い。

香川は横山のドリブルを捨てさせたわけではありません。

横山が持っているドリブルという武器に、

「どこに立つか」

「いつ動くか」

「いつシュートを打つか」

という選択肢を増やしている。

そして横山自身が考え、実行している。

2月に「ドリブルだけできても意味がない」と話していた選手が、5月には自分から中へ入り、シュートを選択し、2得点を決めた。

横山夢樹の成績が伸びた理由が、少し見えてきます。

2試合4得点は偶然ではなかった

名古屋戦だけなら、「たまたま当たった試合」と見ることもできます。

ところが翌節、5月24日のファジアーノ岡山戦でも横山は2得点を決めました。

2試合で4得点。

しかも横山は、この試合でも外に張るだけでなく中へ入ることによってシュート場面が増え、それがゴールにつながっているという趣旨の話をしています。

名古屋戦で試したことを、岡山戦でも続けた。

そして再び結果が出た。

横山が「ドリブルで抜ける選手」から「ゴール前へ入って点を取れる選手」へ変わり始めた時期だったのでしょう。

その活躍もあり、横山は5月度のJ1 WEST月間ヤングプレーヤー賞を受賞しました。

ここで一度、実際のプレーを見ておきたいところです。

出典:セレッソ大阪公式|横山夢樹 5月度月間ヤングプレーヤー賞受賞

ドリブルが突然うまくなったわけではない。

もともと持っていた武器に、ポジショニングとシュートという新しい選択肢が加わった。

その変化が数字になったのが、この時期だったのだと思います。

香川真司のパスから横山夢樹が決めたゴール

そして2026年8月8日。

2026/27シーズン開幕戦、セレッソ大阪対ファジアーノ岡山。

横山夢樹はシャドーとして先発しました。

そこで一つの象徴的なゴールが生まれます。

香川真司から横山夢樹へ。

横山はパスを受けるとカットインし、逆転ゴールを決めました。

試合後、横山は香川ならワンタッチでパスを出してくると思っていたと振り返っています。

香川が下りる。

横山が前へ出る。

二人の間に、一つの形ができ始めていました。

マチン監督もこの試合後、香川は下りてボールをさばき、横山はドリブルで仕掛けてシュートへ向かう選手として、それぞれの特徴を説明しています。

出典:セレッソ大阪公式|2026年8月8日 岡山戦 試合後コメント

ただ、私は横山のゴール以上に、その先の言葉が気になりました。

香川が下りたところから、自分が裏へ抜ける。

さらに自分が動くことで、今度は香川が使えるスペースも作っていきたい。

横山は、そこまで考え始めています。

2月には、「ドリブルだけできても意味がない」と話していた20歳です。

香川から「常に考えてプレーした方がいい」と言われた。

5月には立ち位置を変え、シュートを意識してゴールを取り始めた。

そして8月には、香川との関係の中で自分がどう動けば、次は香川を生かせるのかまで考えている。

香川から答えを教えてもらうだけの選手ではなくなりつつある。

私はこの変化に、横山夢樹の成長を感じます。

横山夢樹少年は香川真司とすでに出会っていた

ところが、この二人の話にはさらに前があります。

時間を10年以上巻き戻します。

まだ横山夢樹が小学生だったころ。

横山はテレビ企画の撮影で、香川真司と会っていました。

当時の香川は日本代表の10番。

横山自身、小学3年生だった2014年ブラジルワールドカップ、中学1年生だった2018年ロシアワールドカップで日本代表を見ており、当時日本代表で活躍していた香川と現在一緒にプレーしていることを「不思議な感覚」と振り返っています。

ただし、「香川真司だけに憧れ続けた少年」という話にしてしまうと少し違います。

二人の対談では、横山が香川を好きな選手だったと話すと、香川からネイマールの方に憧れていただろう、と突っ込まれる場面もあります。

この距離感がいい。

一方の香川も、小学生との撮影自体は覚えていました。

ただ、その少年が横山夢樹だったと知ったのは、横山がプロになった後に写真を見せられてからだったそうです。

【一次証言】
TBS NEWS DIG「香川真司が絶賛する横山夢樹の『Jでも珍しい“抜き切る力”』」

あの時の小学生が、十数年後には同じセレッソ大阪のユニフォームを着ている。

自分のところへサッカーの相談に来る。

そして自分のパスからゴールを決める。

こんなことがあるんですね。

サッカー選手のキャリアは数字で残ります。

何試合出場した。

何点取った。

どのクラブへ移籍した。

それも大切な記録です。

でも、こういう時間のつながりこそ、私は記憶に残ります。

横山夢樹の兄は横山歩夢、父・横山博敏から受け継いだもの

横山夢樹のサッカーを語るうえで、もう一つ外せないのが家族です。

父は横山博敏。

兄は横山歩夢。

夢樹がサッカーを始めたのは5歳ごろ。

当時、父はブラウブリッツ秋田の監督を務め、兄の歩夢もすでにサッカーをしていました。

幼い夢樹は兄と1対1を繰り返し、父、兄と3人でボールを蹴っていたそうです。

父から教えられたのは、

トラップ。

パス。

ドリブル。

「基礎が大事」ということでした。

現在の横山夢樹を見ると、華やかなドリブルに目が行きます。

しかし、その土台には幼いころから繰り返した基本があります。

兄との1対1という話も面白い。

今の横山が相手を前にしても仕掛けることを恐れない姿を見ると、幼いころから身近に「抜きたい相手」がいたことも無関係ではないのでは、と想像したくなります。

出典:セレッソ大阪公式|PLAYER’S HISTORY 横山夢樹

そして横山夢樹は、最初からエリート街道を走った選手ではありません。

小学2年生のとき、横浜FCのU-12強化カテゴリーのセレクションを受けました。

約100人が受けて、合格したのはわずか2人。

その一人が横山でした。

横浜FCを追いかけている私としては、ここで思いがけない名前が出てきました。

横浜FCです。いまセレッソ大阪で気になって仕方がない横山夢樹が、少年時代に横浜FCの門を叩いていた。

こんな接点があったとは知りませんでした。

ところが、その後は違います。

周囲の選手たちが横浜FCのジュニアユースへ進む中、横山は上がれませんでした。

本人も当時の自分について、ドリブルはしていたものの、抜き切れずにボールを取られることも多かったと振り返っています。

中学時代にはコロナ禍でチーム練習ができなくなり、「3年後にプロになろうと思ったら、このままではマズイ」と危機感を抱きました。

雨の日にも一人で自主練習。

チーム練習がない日にも走り、1対1を続けました。

それでもJクラブのユースから声は掛からず、進学したのは帝京高校。

高校2年時にはチームがインターハイ準優勝を果たしましたが、横山自身は試合に出られていません。

父もサッカー選手。

※追記:父博敏さんは現役時代、横浜FCでプレイしています。

恥ずかしい話、横浜FC黎明期の立役者を私は失念していました。

兄もサッカー選手。

小学2年生では100人から2人に選ばれた。

そんな経歴だけを並べれば、子どものころから順調にプロへの階段を上った選手のように見えます。

実際は違いました。

選ばれたこともある。

落とされたこともある。

試合に出られなかったこともある。

そのたびに、横山は自分に足りないものを考えてきました。

そう考えると、香川から言われた「常に考えてプレーする」という言葉が横山に響いたのも、偶然ではないような気がします。

横山夢樹は日本代表まで駆け上がるのか

横山夢樹について調べると、「日本代表」「海外」といった言葉も気になってきます。

そして代表は、すでに遠い話ではありません。

横山にはU-19、U-20、U-21、U-22、U-23と年代別日本代表歴があります。

2026年7月にはU-21日本代表にも選出されました。

20歳。

J1で相手を抜けるドリブルがある。

そこへ得点力まで加わり始めた。

となれば、この先を期待したくなるのは当然でしょう。

ただ、今の段階で「将来のA代表」と決めつける必要はないと思います。

横山自身が、まだ変化の途中だからです。

ドリブルという分かりやすい武器はすでにある。

そこへ香川真司から教わった「考える」という要素が加わった。

ボールを持っていないときの動きが変わる。

シュートが増える。

ゴールが増える。

相手から警戒されれば、また次の答えを考えなければならない。

おそらく、ここからが面白い。

香川真司は若くしてセレッソ大阪から海外へ渡り、日本代表の10番を背負いました。

だからといって、横山夢樹が香川と同じ道を歩く必要はありません。

香川には香川のサッカーがあり、横山には横山のドリブルがあります。

そして香川自身も、それを分かっているからこそ自分の答えを押し付けないのでしょう。

横山が自分で考えながら、その武器をどこまで磨いていくのか。

私はそこを見ていたいと思います。

横山夢樹の成績だけでは見えない「これからの記憶」

横山夢樹が気になった最初の理由は、もっと単純でした。

近くにあるセレッソ大阪の試合が気になる。

そこで最近、やけに目立つ若い選手がいる。

それが横山夢樹でした。

調べ始めたときには、ここまで香川真司との物語につながるとは思っていませんでした。

小学生のころ、日本代表の香川と出会った。

十数年後、同じセレッソ大阪でチームメートになった。

分からないことがあれば、その香川のところへ聞きに行く。

返ってきたのは「常に考えてプレーした方がいい」という言葉。

横山は考えた。

ワイドにいるだけでいいのか。

中央へ入ったらどうか。

いつシュートを打つのか。

香川が下りたら、自分はどこへ走るのか。

そしてゴールが増え始めた。

ついには香川からのパスを受けてゴールまで決めた。

さらに今度は、自分が動くことで香川を生かすところまで考え始めている。

出来すぎた話のようにも見えます。

でも、これはまだ物語の途中です。

横山夢樹は20歳。

この先、日本代表へ行くのか。

海外へ飛び出すのか。

セレッソ大阪でどんな選手になっていくのか。

それはまだ分かりません。

ただ一つ言えるのは、私はもう横山夢樹がボールを持つと気になるようになってしまったということです。

「何かやるんじゃないか」

そう思って見てしまう選手が、また一人増えました。

記憶に残った選手を振り返るのもサッカーの楽しさです。

でも、記憶というものは過去にだけあるわけではありません。

もしかすると私たちは今、横山夢樹という選手の「記憶の始まり」を見ているのかもしれません。

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